認知症は「防げない病気」ではない

日本では高齢化の進展に伴い、認知症を持つ人の数は増加傾向にあります。しかし認知症は、避けられない老化現象ではありません。生活習慣の改善・社会的なつながりの維持・早期発見によって、発症リスクを下げたり、進行を緩やかにすることが可能です。

認知症の主な種類

  • アルツハイマー型認知症:最も多く、脳内にアミロイドβというたんぱく質が蓄積することで神経細胞が徐々にダメージを受ける
  • 脳血管性認知症:脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患が原因。高血圧・糖尿病・喫煙との関連が強い
  • レビー小体型認知症:幻視(実際にないものが見える)・体の動きの問題(パーキンソン症状)を伴うことが多い

認知症リスクを下げる生活習慣

1. 有酸素運動を継続する

ウォーキング・水中歩行・サイクリングなどの有酸素運動は、脳への血流を増やし、神経細胞の成長因子(BDNFなど)の分泌を促します。週150分程度(例:1日30分×週5日)の中程度の運動が目安とされています。

2. 知的活動・脳を使う習慣

読書・趣味・楽器演奏・外国語学習・パズルなど、脳を積極的に使う活動は「認知予備能(cognitive reserve)」を高め、症状の出現を遅らせる可能性があります。

3. 社会的なつながりを保つ

孤立は認知機能の低下リスクを高めます。家族・友人・地域コミュニティとの交流を続けることは、精神的な刺激を与え、認知症予防に有効です。ボランティア活動・サークル・老人会なども良い機会です。

4. 生活習慣病の管理

高血圧・糖尿病・肥満・脂質異常症は脳血管性認知症のリスクを大きく高めます。これらを適切にコントロールすることが認知症予防にも直結します。定期的な健診と医師の指示に従った治療が大切です。

5. 質の良い睡眠を確保する

睡眠中は脳内の老廃物(アミロイドβを含む)がリンパ系で洗い流されると考えられています。睡眠不足や睡眠の質の低下が認知症リスクと関連しているという研究が増えています。

認知症の早期サイン:「物忘れ」と「認知症」の違い

加齢による物忘れ 認知症の初期サイン(注意が必要)
人の名前が思い出せない(ヒントがあれば思い出せる) 最近の出来事をまるごと忘れる(ヒントでも思い出せない)
物をどこに置いたか忘れる 物を置いたこと自体を忘れ、盗まれたと思う
物忘れを自覚している 物忘れを自覚できなくなってきた
日常生活に支障はない 料理・買い物・金銭管理などが難しくなった

気になる症状があったら:早めの受診が大切

「最近おかしいな」と感じたら、かかりつけ医やもの忘れ外来・神経内科・精神科に相談しましょう。早期に発見できれば、進行を遅らせる治療や生活支援を早期から受けられます。また、本人だけでなく家族が「変化に気づく」ことも重要な早期発見のカギです。

介護する家族へ:一人で抱え込まないで

認知症の方を介護する家族も、精神的・身体的に疲弊することがあります。地域包括支援センター・介護サービス・家族会などを積極的に活用し、支援を受けながら介護を続けることが長続きするコツです。